Dua Saleh(デュア・サレー)とは?新作『Of Earth & Wires』おすすめ3曲と聴きどころ

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Photo from Dua Saleh's Facebook

Dua Saleh(デュア・サレー)は、ロサンゼルス在住のスーダン系アメリカ人のシンガーソングライター。

インディー、R&B、エレクトロニック・ポップをはじめ、スーダンの民族音楽、UKダンス、ブラジルのバイレ・ファンク——あらゆるジャンルを融合した独自のサウンドは「ジャンルレス」という言葉で片づけたくなるけど、それだけでは何か取りこぼしている気がする。

Netflixの『セックス・エデュケーション』で名前が知られるようになると、2024年のデビュー作『I SHOULD CALL THEM』で『ニューヨーク・タイムズ』や『NME』といった音楽メディアが一斉に反応した。

Amazon.co.jp: Of Earth & Wires: ミュージック
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最新アルバム『Of Earth & Wires』、その出発点

2026年5月15日にリリースの新作『Of Earth & Wires』はウェールズで制作された。

『セックス・エデュケーション』の撮影でイギリスにいたDua Salehは、故郷から遠く離れた場所で、スーダンの紛争のニュースを見聞きしていたとのこと。AIが急速に広がり始めた時期でもあって、「自分はアーティストとして、この世界のどこに立てるんだろう」という感覚がずっとあったという。

「もし戦争ですべてを失ったらどうなるだろうか。大地は焼かれ、先住民族のアフリカ人が失われていく中で、喪失感は常にそこにあります。もし自分の世界が消滅してしまったら、私は故郷の断片を集めてそれを蘇らせるでしょう。私にとってそれは、故郷を感じさせる音の要素を取り入れることを意味します」

そこで、ミネソタやアイオワで育った仲間たちに連絡。SZAのプロデュースで知られるビリー・レモス、そしてBon Iver(ボン・イヴェール)ことジャスティン・ヴァーノンといったどこか中西部の空気を持つ彼らと一緒に制作をしていくうちに、アルバムの輪郭が見えてきたという。

タイトルの『Of Earth & Wires(大地と電線)』は、自然と技術が互いを侵食していくイメージに由来。有機的な温もりと、止められないデジタルの拡張。その両方を音で並べて、どちらも切り捨てない。それがこのアルバムの核心だろう。

気になったら、まずこの3曲から

「5 Days」

アコースティック・ギターとサレの歌声が印象的な楽曲。囁くような、静かな始まりから一転、不協和音のスクリーモが一気に押し寄せてくる。この切り替えが個人的にはかなり鮮烈だった。穏やかさと暴力性が同じ曲の中に共存している感じで、曲の終わりにはプロメテウスへの言及もあり、聴き終えた後に「あれはなんだったんだ」とじわじわ考えさせられる。最初の一曲にどうぞ。

「Flood」

Dua Salehの音楽が難しそうで近づきにくいと感じるなら、この曲あたりから試してみるといいかもしれない。エクスペリメンタルな要素もエレクトロニカもR&Bも全部入っているのに、するする聴ける。いろんな要素が詰まっているはずなのに、気づいたら体が動いていた、という人もいるかもしれない。シャッフルするビートに乗って、ほぼ囁きから始まり、鋭い一撃へとスムーズに変化していくDua Salehのボーカルが自然に耳に入ってくる。

「Firestorm」

ロサンゼルスの山火事を経験した後の傷心から生まれた、海岸沿いのラブソング。ロサンゼルス・トランス合唱団と、Bon Iverことジャスティン・ヴァーノンが参加している。

アルバムの中でもとりわけ甘いトーンのDua Salehの歌声が印象的。トラウマの中から生まれた曲とは思えないほど穏やかで、その落差がかえって印象に残る。重い出来事を重く歌わない、という選択がこの曲をどこか特別なものにしている気がする。

最後に

アルバムの最後を飾る「ALL IS LOVE」には、グラミー賞ノミネートの詩人 アジャ・モネが参加している。ゲスト陣の豪華さはもちろんだが、このアルバムで一番印象に残るのは、Dua Saleh自身の背景や経験がそのまま音楽になっているという点かもしれない。故郷の紛争、異国での孤独、AIへの不安——そういった具体的な出来事や感情が、13曲の中にそれぞれ形を変えて入っている。

Dua Salehをまだ聴いたことがないなら、まず1曲だけ試してみてほしい。

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