Danielle Ponder、新作『Everything Has Changed』で歌う喪失と、その先

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ソウル、ブルース、ゴスペルの深みを湛えた歌声で知られるシンガーソングライター、Danielle Ponder(ダニエル・ポンダー)が、セカンド・アルバム『Everything Has Changed』を2026年10月9日にリリースした。Dead Oceansからの第一作で、Phoebe Bridgersとのパートナーシップのもとで発表されている。全14曲。プロデュースは、グラミー受賞者のMike ElizondoとBarney Listerが手がけた。

Amazon.co.jp: Everything Has Changed: ミュージック
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公選弁護人から音楽家へ

ニューヨーク州ロチェスター出身の彼女は、現在アトランタを拠点にしている。経歴は異色だ。10年以上にわたり公選弁護人として働き、刑事司法改革に取り組んでいた。その背景には、彼女が16歳のときに兄が懲役20年から終身刑の判決を受けた経験がある。

転機は2021年、39歳のとき。法律の仕事を離れ、音楽に専念する道を選んだ。2022年にデビュー・アルバム『Some of Us Are Brave』を発表し、「Roll The Credits」はAppleのiPhone広告にも使われた。Jimmy Kimmel Live!への出演や、Lollapalooza、Montreux Jazz Festivalなどでのステージも重ねている。のちにApple TV+のドラマ『Manhunt』のテーマ曲も手がけた。

喪失の4年間を経て

音楽メディアClashのインタビューによれば、Ponderはデビュー後の約4年間、深い悲しみと向き合い続けた。本人の言葉では、幼い頃から身近にいた義理の兄弟の死、親友や仕事仲間との別れ、父親の認知症の進行が重なった。さらに妊娠中に流産も経験したという。

デビュー作が「関係を終わらせる側」の自信を歌っていたとすれば、本作は「置いていかれた側」の声だと彼女は語る。年齢を重ねることへの不安を歌う「Time Is A Wild Thing」は、その一例だ。レコーディングでは完璧主義とも格闘し、約10曲を捨てたという。Dead Oceansの公式紹介は、本作を過去に自分へ言い聞かせてきた物語を解体し、残ったものの中に安らぎを見いだす作品と位置づけている。

聴きどころ

先行シングル「Power」は、ブラック・ディアスポラを称える一曲だ。17歳で訪れたセネガルのダカールでの体験が出発点になっている。Reenah Goldenが参加し、Sol Messiahとともにプロデュースした。ミュージックビデオはダカールで撮影され、Ponder自身はClashの取材で、現地で「ただのDanielle」でいられる解放感を語っている。

「Sun and Moon」は、追いかけ合うだけで重ならない太陽と月を恋人たちに重ねた曲。Ponderによれば、軽快なドラムとテンポは、彼女が何度も経験した「追いかけ合い」の感覚を映している。曲の終盤でドラムが止まり、ゲームに疲れた主人公がより深いものを求め始める構成が見事だ。

「God of You」は、Screamin’ Jay Hawkinsの「I Put a Spell on You」に着想を得たブルース・バラードである。恋愛相手を神のように崇め、承認を求めてしまった自分を見つめる内容で、Ponderは男性を救世主として扱うことをやめたと語っている。MikeElizondoとの共作で、追加プロダクションはBartees Strangeが担当した。映像もダカールで撮影されている。

「SKN」は、中間航路に触れながら、搾取され続けてきた黒人の身体と声を歌う。浮遊感のあるビートはRadioheadを思わせ、Bartees Strangeがプロデュースした。軽やかなリズムと重い主題の対比が、この曲の個性になっている。

最もパーソナルな一曲が、ストリップバックされた「Blues」だ。流産という、語られにくい悲しみを扱っている。Ponderは公にすることをためらったが、聴いた多くの女性から自身の体験を打ち明けられたという。「Open Windows」は、大切な人が去ったあと、もう誰も自分を愛さないのではという不安から始まる。友人の言葉をきっかけに、まだ出会っていない人々への余白を開いていく。リリース当日にミュージックビデオが公開された。

変化の先にあるもの

『Some of Us Are Brave』が彼女の登場を記録した作品だとすれば、『Everything Has Changed』は進化の記録だ。完璧を追う姿勢を手放し、自分が築いた人生の中に身を置く。その姿勢が、悲しみを美化せず歌に引き受ける誠実さにつながっている。成功のあとにも喪失は訪れる。その事実を、ソウルとブルースの表現力で歌い切った一枚である。

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