- 「サマーソング」の定義は、もはや一つではない
- 1. Olivia Rodrigo「Stupid Song」
- 2. Aya Nakamura & La Rvfleuze「Sexy Nana」
- 3. Chxrry「Call Security」
- 4. Maisie Peters「Questions」
- 5. Charli XCX「Card Declined」
- 6. Adéla「Ain’t in LA」
- 7. Victony「Slick」
- 8. Olivia Rodrigo「The Cure」
- 9. Trim「Coconut Water」
- 10. Charli XCX feat. David Cronenberg「No One Lasts Forever」
- まとめ:あなたにとっての「サマーソング」は
「サマーソング」の定義は、もはや一つではない
かつては「その年の夏を代表する曲」といえば、誰もが自然に思い浮かべる一曲。2009年の「I Gotta Feeling」、2017年の「Despacito」、2019年の「Old Town Road」など、世代を超えて共有される”夏の主題歌”が存在した時代である。
しかし2026年現在、音楽の聴かれ方は大きく変化。TikTokやInstagramのリール動画で音楽と出会う層と、ラジオなど従来型メディアを頼りにする層とでは、耳にするヒット曲がまったく異なる。さらに各ストリーミングサービスのレコメンドアルゴリズムも異なるため、「今、流行っている曲」の景色はプラットフォームごとにバラバラである。
チャート成績だけで見れば、2026年の「サマーソング」の座に最も近いのは、カントリー・シンガーソングライターのElla Langleyによる「Choosin’ Texas」。彼女にとって初の全米ナンバーワンとなったこの曲は、Billboard Hot 100の首位に通算19週(非連続)ランクインし、ホリデーソングを除く歴代最長タイ記録を樹立した。それほどの大ヒットであるにもかかわらず、音楽好きの間でもタイトルを知らない人がいるという事実は、今の音楽シーンの分断ぶりの象徴である。
一方でこの夏は、Olivia Rodrigo、Charli XCX、Ariana Grande、Drakeといった大物アーティストが次々と新作をリリースし、リスナーの関心は文字通り「あらゆる方向」へと分散した。
だからこそ、「今年のサマーソングは?」という問いへの答えは、人によって驚くほど多様である。以下、2026年の夏に注目を集めた楽曲を、ジャンルや魅力とともに紹介する。
1. Olivia Rodrigo「Stupid Song」
デビュー曲でティーンエイジャーらしい失恋を歌っていたOlivia Rodrigoも、23歳になった今では恋愛経験を重ねた大人の女性としての作風。新作アルバム『You Seem Pretty Sad for a Girl So in Love』からのこの一曲は、静かなピアノバラードから疾走感あふれるポップロックへと一気に展開する構成が印象的である。制御できない恋愛感情の多幸感と危うさを、彼女らしい率直な言葉で描く一曲。
2. Aya Nakamura & La Rvfleuze「Sexy Nana」
全編フランス語詞ながら、TikTokを起点に世界中で再生されているダンスチューン。フランス語が分からなくても、キャッチーなビートとNakamuraの堂々としたパフォーマンスに自然と引き込まれる一曲である。
3. Chxrry「Call Security」
The WeekndのレーベルXOと契約した初の女性アーティストであるChxrryが、初アルバム『U, Me & My Ego』から放った代表曲。個性的なミュージックビデオも話題となり、次世代ポップスターとしての存在感を印象づけた一曲。
4. Maisie Peters「Questions」
イギリス出身のシンガーソングライター、Maisie Petersが最新作『Florescence』で見せた新境地。恋愛の終わりに残る答えのない疑問を、具体的な情景描写と中毒性の高いメロディで表現し、遊び心とカタルシスを両立させた一曲である。
5. Charli XCX「Card Declined」
アルバム『Music, Fashion, Film』に収録された一曲で、気だるい夏の午後にぴったりの脱力感あふれるトラック。淡々としたボーカルが、何もかもがどうでもよくなるような夏の空気感を巧みに表現している。
6. Adéla「Ain’t in LA」
スロバキアにルーツを持つアーティストAdélaによる、ノスタルジックで甘い一曲。ロサンゼルス的な美の基準や成功のイメージへのアンチテーゼとして、「魅力は生まれ育った場所にもある」というメッセージを込めた楽曲である。
7. Victony「Slick」
アフロビーツシーンで存在感を高め続けるナイジェリア出身アーティストVictonyの最新曲。英語、ピジン英語、イボ語、ヨルバ語を織り交ぜたボーカルと、シンプルながら中毒性の高いビートが特徴で、彼のキャリア最大級のヒットになりつつある一曲。
8. Olivia Rodrigo「The Cure」
アルバム『You Seem Pretty Sad for a Girl So in Love』から、感情の機微を丁寧に描いたクロージングナンバー。「Honeybee」「Expectations」と並び、失恋から立ち直る過程を音楽で追体験できる一曲である。
9. Trim「Coconut Water」
サウスカロライナ州チャールストン出身、19歳の新星ラッパーTrimによる楽曲。独特の訛りを生かしたフロウと、2010年代を思わせるプロダクションが心地よく、一度聴いたら頭から離れないイヤーワーム系ヒットである。
10. Charli XCX feat. David Cronenberg「No One Lasts Forever」
アルバム『Music, Fashion, Film』を締めくくる、感傷的なバラード。ボディホラーの巨匠David Cronenbergのナレーションを迎え、「時間は永遠ではない」というテーマを歪んだハイパーポップサウンドに乗せて描く一曲。物悲しい曲調ながら夏の終わりを実感させる、ある意味で最も「サマーソングらしい」楽曲である。
まとめ:あなたにとっての「サマーソング」は
2026年の音楽シーンは、チャートを席巻する一曲だけでなく、無数の個人的な「サマーソング」が同時に存在する年である。それは音楽の楽しみ方が多様化した証。ジャンルも国も異なるこれらの楽曲の中から、ぜひ自分だけの夏の一曲を見つけてほしい。
※本記事はHarper’s Bazaar(米国版)の企画記事を参考に構成しています

