シカゴから届く、心地よい音楽の風。 Walker(ウォーカー・ランドグラフ)は、ジャズとソウル、R&Bを独自に織り交ぜたサウンドで注目を集めるシンガーソングライターだ。
三つの都市が育んだ音楽性
ロサンゼルスで育ち、ニューヨークで音楽を学び、現在はシカゴを拠点とする。アメリカの主要都市を渡り歩いたWalkerの経験は、そのまま音楽の深みとなって表れている。
16歳からジャズギターを弾き始めると、大学では本格的に音楽を学び、マルチインストゥルメンタリストとして、ギター、ドラム、キーボードまで自在に操る。
楽曲制作においては、自宅のホームスタジオでほぼすべての楽器を一人で演奏し、作曲からレコーディング、プロデュースまでをこなしている。
15歳の時にAbleton Liveを使って音楽制作を始めたWalkerは、「これこそが私が生まれてきた理由だ」と直感したという。その情熱は今も変わらない。日々スタジオに籠もり創作を続けている。
影響を受けたアーティストたち
Walkerの音楽のルーツは、ザ・ビートルズ、スティーヴィー・ワンダー、アレサ・フランクリンといったレジェンドから、ディアンジェロやエリカ・バドゥのようなソウルクエリアンズまでと幅広い。
彼は60年代と70年代の音楽を「愛と楽観主義に満ちた大きなタイムカプセル」と表現する。一方で、マーヴィン・ゲイやアル・グリーンのソウルフルなエッセンスも色濃く反映されている。
シカゴ・トリビューン紙はこう評した。
「ランドグラフの型破りなR&B、ファンク、サイケデリックは、ディアンジェロ、トロ・イ・モア、UMOといったアーティストを彷彿とさせる」
デビューアルバム『Phew』
2022年冬にリリースされた『Phew』は、Walkerの多彩な音楽性が凝縮された一枚だ。キャッチーなメロディーと陽気なギターリフが、雰囲気のある活気に満ちた楽曲コレクションを作り上げている。このアルバムはSpotifyのFresh FindsとAlternative R&Bプレイリストに選出され、彼の才能を広く知らしめることとなった。
特に注目すべきは「I’ll Be Right Here」。 温かくて心地よいハグのように優しく優雅な、この曲は思いやりと安らぎそのものだ。滑らかで情熱的な没入感のあるサウンドに、Walkerの甘美なボーカルが金色に輝く。「この曲は、安らぎ、コミュニティ、そして家を作ることについての歌です」と彼は語る。
ロサンゼルスで育ち、ニューヨークで学び、シカゴで初めて本当の「家」と友人関係を築いた。 その経験が、この曲には込められている。
「大切な人たちが私を気遣い、ここにいていいのだと教えてくれる」
シンプルな歌詞の中に、深い共感と癒しがある。
セカンドアルバム『Good Man』への挑戦
『Phew』のリリース直後、オーディション番組『The Voice 2023』への出演を辞退し、自宅での音楽制作に集中することを選んだ。そして生まれたのが、セカンドアルバム『Good Man』である。
「『Good Man』は作るつもりだったアルバムではありませんでした」
シカゴ市からアーティスト助成金を受け、長年夢見ていたレコーディング機材を購入。機材を接続してテストを始めたところ、まったく新しい世界が開けたという。新しい機材、新しい視点から曲を書き続けるうちに、彼は次のクリエイティブなレベルに到達したことに気づいた。
「『Phew』には誇りを感じていましたが、アーティストとして、あるいは人間としての自分を完全に表現できていないと感じていました」
『Good Man』は、内側から感じられるようになった自信の宣言だ。 ソウル・フード・ホーンズのノエ・ミナがトランペットで参加した「Without You」など、友人とのコラボレーションもありつつ、基本的には彼のアパートですべてを完成させている。歌手としてのキャリアに不安を抱えていた20歳の頃から、今では何百万もの人々が彼のボーカル曲をストリーミングしている。
その成長の軌跡が、このアルバムには刻まれている。
ジャンルを超えた音楽体験
Walkerの音楽は、一般的な意味でのジャンルを超越している。彼の曲はキャッチーで、ポップの枠組みに収まりながらも、ジャズ、ブルース、クラシックR&B、ヒップホップ、フォークまで、あらゆる要素が含まれている。
ウィングス時代のポール・マッカートニーから、ソウルクエリアンズまで。 往年の名曲を参考にしたソングライティングに力を入れる彼の姿勢は、音楽への深い愛情と敬意を感じさせる。同時に、自分自身のビジョンを貫く強さも持ち合わせている。
これからのWalker
2026年1月に「can I be myself around you?」、2月にはAnthony Lazaroとのコラボ曲「Seasons of Love」と立て続けに新曲をリリース。 Walkerの音楽は進化を続けている。
シカゴのジャズバー「The Green Mill」で生演奏を楽しみ、週末には「Lily’s Pocket Session」でジャムセッションに参加する。音楽を愛し、音楽と共に生きる彼の日常が、そのまま作品に反映されている。
Walkerの音楽は、穏やかで優しい響きが特徴だ。心からの甘くシンプルなメッセージを、ソウルフルなサウンドに乗せて届けている。
音楽ファンにこそ届けたい、本物のアーティスト。 Walkerの音楽は、これからもっと多くの人々の心に響いていくだろう。


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