Sam Wilkes(サム・ウィルクス)は、LA出身のエクスペリメンタル/ジャズ・ベーシスト。
Jacob CollierやAshe、Ringo Starrなど多くのアーティストとコラボレーションを果たしてきた彼は、ジャンルレスな独自のサウンドでリスナーを魅了しています。
最新アルバム『iiyo iiyo iiyo』
2024年10月11日にSam Wilkesが主催するレーベル〈Wilkes Records〉からリリースされる『iiyo iiyo iiyo』は、2022年に開催された静岡県掛川市の〈FESTIVAL de FRUE〉と東京・渋谷の〈WWWX〉でライブ録音されたものを収めたライブ・アルバム。親しい友人や共演者たちとともに行われたライブは、スタジオ録音とは一味違う、観客との一体感や臨場感が溢れる内容です。
Sam Wilkesは「伴奏には言葉では表現できないエネルギーがある」と述べており、本作でもその哲学が色濃く反映されています。彼のベースラインは、楽曲全体の土台となりつつも、他の演奏者たちの個性が自由に発揮されるようなアレンジが施されています。
アルバム『iiyo iiyo iiyo』には、キーボーディストのChris Fishman、ギタリストのDylan Day、ドラマーのCraig Weinrib、そしてキーボーディスト兼ギタリストのThom Gillが参加。それぞれが異なる音楽背景を持ち寄り、ジャズやアンビエント、アメリカの伝統的な音楽要素が融合したサウンドを展開。
例えば、Chris FishmanとThom Gillが演奏するテンポの速いグリッド音楽と、Dylan Dayが奏でるアメリカの伝統的なメロディが共存し、Craig Weinribのドラミングがそれをシームレスにつなぐことで、ウィルクスの音楽に独特のダイナミズムが生まれています。
アルバム『iiyo iiyo iiyo』のライブ感と親密なサウンド
アルバム『iiyo iiyo iiyo』は、掛川と渋谷でのライブ録音にもかかわらず、まるで小さな部屋で録音されたかのような親密な雰囲気が漂います。特に、彼のデビュー・アルバム『Sam Wilkes』に収録されている「Descending」は、ホール後方で遊ぶ子どもたちの声がサンプリングされたかのような、居心地の良いムードが感じられます。
また、スタンダード・ナンバー「I Wanna Be Loved」では、Dylan Dayのアンビエントと伝統的な美しいラインを行き来するギタープレイが際立ちリ、スナーを魅了。
Sam Wilkesは、自身の演奏やバンドのパフォーマンスが「準備と即興の融合」で成り立っていると語っています。例えば、彼の演奏はメロディーを引き立てつつも、他のメンバーの演奏に自由な空間を提供する伴奏役として楽曲全体の感情的な軸を担っています。
Sam Wilkesがこのアルバムで追求したのは、単なる演奏技術ではなく、メンバーそれぞれの個性を引き出すことなのだそう。その結果生まれた音楽は豊かで感情に訴えかけるものに。
アルバムのタイトル『iiyo iiyo iiyo』は、日本語で「いいよ、いいよ、いいよ」と感謝に対する謙虚な返答に由来。このタイトルは、Sam Wilkesの音楽が持つ温かさや家庭的な雰囲気を表しています。