CA7RIEL & Paco Amorosoが鳴らす新世代ラテン音楽の最前線『FREE SPIRITS』——スティング、ジャック・ブラック、Anderson .Paakが集結

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「俺たちが生きてきた中で最もクレイジーな年々を反映したアルバムだ。複雑で、楽しくて、正直で、あらゆるものが詰まっている」——そう語るデュオが、ついにその言葉を音にした。

CA7RIEL & Paco Amoroso、通称「カトパコ」。アルゼンチン・ブエノスアイレス出身の幼馴染2人が組むこのデュオは、今やラテン音楽シーンの枠をとうに超え、ジャンルの垣根を軽やかに飛び越える存在だ。トラップ、ヒップホップ、オルタナティブポップを混ぜ合わせた彼らのサウンドは世界で支持され、2025年にはフジロックで初来日も果たした。そして2026年3月20日、セカンドアルバム『FREE SPIRITS』をリリース。このアルバムが、ただの新作ではない。

壊して、作り直した——誕生の経緯

このアルバムには、なかなかドラマチックな前史がある。もともとは『Top of the Hills』というタイトルで2025年12月にリリース予定だった。しかし過酷なツアーによる疲弊と、シングル「GIMME MORE」のミュージックビデオへの批判が重なり、デュオはいったん制作を停止。アルバムごと白紙に戻した。

そこから生まれたのが今作『FREE SPIRITS』だ。単に作り直したのではない。コンセプト自体を根本から刷新した。

プロモーションの仕掛けも奇想天外だった。スティングを「ウェルネスメンター」に据えた架空の施設「Free Spirits Wellness Center」を設定し、デュオがそこで12ステップのヒーリングプログラムを受けるという物語的な世界観を構築。実際にウェブサイトで参加者の募集まで行われ、プレスリリースには「選考プロセスは厳格で、要求が厳しく、個人的に挑戦的」と警告文まで添えられた。音楽プロモーションの常識を軽く踏み越えた、この一連の演出がすでにひとつの作品だ。

“今まで作った中で最高の作品。”

— CA7RIEL & Paco Amoroso(Instagramより)

豪華すぎるコラボ陣——誰と、何を鳴らしたか

全11曲で構成される本作の最大の驚きは、そのフィーチャリング陣の振り幅だ。ラテン音楽のアーティストが集まっているわけではない。ジャンルも世代も国籍も、まるで異なる顔ぶれが揃っている。

アーティスト 楽曲 ひとこと
Sting HASTA JESÚS TUVO UN MAL DÍA The PoliceからソロまでのDNAがこの曲に宿る
Jack Black GOO GOO GA GA まさかのコラボ。MVも話題沸騰中
Anderson .Paak AY AY AY R&Bとファンクの鬼才が加わりグルーヴが跳ね上がる
Fred again.. LO QUIERO YA 他 エレクトロニック音楽の寵児。既に「Beto’s Horns」でも共演済み

ファンの間でも「こんなにランダムなフィーチャリング陣、見たことない」という声が上がっているほど、異色の組み合わせだ。だがそれが、カトパコというデュオの本質でもある。ジャンルで語れないからこそ、こうした顔ぶれが集まる。

聴きどころの2曲——まずここから入れ

Track Spotlight

HASTA JESÚS TUVO UN MAL DÍA ft. Sting

スティングとのコラボという事実だけで十分に衝撃的だが、楽曲そのものもその期待を裏切らない。The Policeへの明確なオマージュが感じられるロック色の強い仕上がりで、うねるサクソフォン、激しいドラム、たっぷりのアティテュードが混在している。スティングは最後のバースとコーラスに登場し、楽曲を完全に掌握する。再生数はすでに230万回を超えた。「イエス様でさえ悪い日があった」というタイトルが示すように、どこかユーモアと諦観が混じったこの曲は、アルバムのコンセプトを端的に体現している。

Track Spotlight

GOO GOO GA GA ft. Jack Black

Jack Blackとのコラボ、というだけで笑いと驚きが同時に来る。架空のウェルネスセンターを舞台にしたミュージックビデオは、カトパコらしい悪ふざけと芸術的な計算が同居する仕上がりだ。ポップでエネルギッシュ、かつどこか狂気を帯びた1曲。再生数は70万回を超えている。

彼らがここに辿り着くまで

カトパコの名が世界に広まったのは2024年のことだ。NPRの人気プログラム「Tiny Desk Concert」に出演した映像がバイラルとなり、約5000万回という驚異的な再生数を記録した。その後デビューアルバム『Baño María』とEP『Papota』を携えて長期ツアーへ。

今年2月の2026年グラミー賞では、『Papota』がベスト・ラテン・ロック/オルタナティブ・アルバム賞を受賞。ラテングラミー賞でも5部門を制した。受賞歴だけ見れば「実力派」という言葉がすぐ浮かぶが、実際の音楽を聴けばその言葉がいかに手狭かわかる。

🏆

2026 Grammy Awards

Best Latin Rock or Alternative Album(PAPOTA EP)

🏆

Latin Grammy Awards

5部門受賞(Baño María)

📺

NPR Tiny Desk Concert

約4,990万回再生のバイラルヒット

「スペイン語の壁」を気にする必要はない

歌詞のほとんどはスペイン語だ。しかしそれは障壁ではない。音そのものが語る。リズムの密度、声のトーン、音楽の構造——それだけで十分に伝わるものがある。洋楽好きならむしろ、今まで聴いてきたものとの違いを発見する楽しさのほうが大きいはずだ。

ヒップホップが好きなら、そのグルーヴは確実に刺さる。ロックの文脈で音楽を聴いてきた人にも、スティングとの曲は入り口になりうる。Anderson .Paakのファンならば「Ay Ay Ay」を聴けば自然に納得する。どこからでも入れるが、聴き始めたら全曲を通したくなる——そういうアルバムだ。

来日情報

3月18日のライブ配信にて、デュオが翌週の日本来日を明かした。フジロックで初来日を果たした彼らが再び日本へ——ゲリラライブの可能性も含め、ファンの動向から目が離せない。

今すぐ聴くべきか

答えは、そうだ。

『FREE SPIRITS』は、アルバムを一度壊して再構築したという経緯が示すように、完成度への執念が宿った作品だ。コンセプトは大胆で、コラボは予想外で、楽曲の振り幅は広い。それでいて、全体を通して聴けばカトパコという2人の視点が一貫して感じられる。矛盾しているようで、それがこのデュオの地力だ。

ラテン音楽に詳しくなくても構わない。スティング、ジャック・ブラック、Anderson .Paak、Fred again..——その名前に見覚えがあるなら、それだけで聴く理由になる。そして一度聴けば、CA7RIEL & Paco Amorosoという名前も、いつの間にか当たり前のものになっているだろう。


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