曲の長さが再び伸び始めている?BBC最新調査で明らかに【2025年版】

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近年、ストリーミング時代の影響で短くなっていた楽曲の長さに、新たな変化が現れています。英BBCの最新調査によると、2025年現在、ヒット曲の平均の長さは再び伸び始めており、2018年頃の水準に戻ってきていることがわかりました。

ストリーミング時代と「短い曲」ブームの終焉

ストリーミングやSNSの登場によって、音楽業界では「イントロ不要」「1サビ勝負」など、より短く、耳に残る楽曲構成がトレンドとなっていました。

2019年には、英国のトップ40にランクインした楽曲の平均再生時間が過去最短の約3分15秒を記録。この時代には、1分台の曲も珍しくなくなり、2021年にイギリスのアーティスト・PinkPantheress(ピンクパンサレス)が発表したアルバム『to hell with it』の平均の曲の長さはわずか1分18秒でした。

彼女は2024年に「曲は2分30秒を超える必要はない」と語り、「繰り返しのヴァースもブリッジも不要」と断言するなど、短尺トレンドの象徴的存在でもありました。

2025年、曲は再び長くなっている

しかし、BBCの2025年の調査によれば、その流れは徐々に変わりつつあります。2025年の英国トップ40の楽曲平均長は3分30秒と、2018年の水準に戻りつつあることが報告されました。

たとえば、

  • Lola Young(ローラ・ヤング)「Messy」:4分44秒
  • Sam Fender(サム・フェンダー)「People Watching」:5分11秒
  • Chappell Roan(チャペル・ローン)「Pink Pony Club」:4分18秒

など、従来の短尺ブームに逆らう楽曲がヒットチャートを賑わせています。

特に注目すべきは、YUNGBLUD(ヤングブラッド)の「Hello Heaven, Hello」。その長さは9分以上に及びます。YUNGBLUDはBBCの取材に対し、「あえて細分化されたデジタルの流れに逆らいたかった」と語っており、アーティストの表現欲や独自性が重視されつつあることがうかがえます。

注意力の持続時間が回復?リスナーの聴き方にも変化

この傾向は、単なる流行の変化にとどまりません。ソングライターのInes Dunn(イネス・ダン)は、「注意力の持続時間は徐々に戻りつつある」とし、「また3分の曲が作れるというのは朗報だ」と語ります。

また、イギリスのポップシンガー、Claudia Valentina(クラウディア・ヴァレンティナ)は、「ファンはアーティストの“存在”を作品の中で感じたいという渇望を持っている」と分析。これは、単に音楽を“消費する”のではなく、“体験したい”という欲求がリスナーに根付いてきていることを示しているのかもしれません。

「短いからバズる」時代は終わるのか?

TikTokやInstagramのリールなど、短尺動画でのバズを狙った楽曲プロモーションが盛んな現代。しかし、今回のBBC調査は、短さ=ヒットという公式が変化し始めている可能性を示しています。

かつては例外的な存在だった「長尺でもヒットする曲」が、再び主流に戻る日は近いのかもしれません。


参考元BBC News – Are songs getting longer again?

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